『てにをは辞典』小内一編

いわゆるコロケーション辞典。
何かの単語を引いてみると、その使い方の例が列記されている辞典。

たとえば「好み」を引いてみると……

▲が 一致する。うかがえる。うるさい。偏る。変わる。……
▲を 言う。押しつける。聞く。考慮する。承知する。……
▲は 人の~十人十色。
▲に 合う。応じて。おぼれる。任せる。合わせてカスタマイズする。
▲の 条件。タイプ。食べ物。
  気まぐれな。個人的な。渋い。地味な。贅沢な。……

このように使い方の例が複数出てくる。

第一回令和小説大賞のために小説を執筆したのだが、これがなければ小説は書けない、と言っても大げさではない次元の辞典。
困った時に引けば、大抵の言葉は見つかるなという感覚はある。60万の結合語の例を、3万5千の見出しのもとに収録しているというのだからかなりの量だ。
岩波国語辞典で6万5千語収録されているらしい。国語辞典の半分以上の語数ならなかなかの量だろう。

持っていれば、語彙に自信がなくても一定水準の文章が誰にでも書けるような気がする。また、利用し続ければ確実に語彙力が増す。

他の辞典では、類語辞典も必須だろう。しかし今はネットで良いものが出ている。
国語辞典もネットにある。言葉の意味だけならすぐに調べられる。
てにをは辞典もネットにあることはあるが、この辞典の水準には達していない。
まさに代替不可能な辞典。

誤解、という単語を例に取ってみよう。
誤解させる、という表現があるが、一般的な動詞がくっついている。ピッタリなのは、誤解を招く、だろう。
誤解が解ける、という表現は適切だが、誤解が晴れる、もある。「解ける」は他の言葉にもくっつくが「晴れる」は誤解以外にあまりくっつく例がない。

より適切な結合語を見つけるのにも良いし、くっつく言葉が喉まで出ているのに出てこない場合にもいい。
わたくしの一例を挙げる。握手する、と書いていて、何となしにこの辞典を引いてみたら、握手を交わす、が出てきて、おお!と感激した覚えがある。簡単な動詞をくっつけるよりも文章がスマートになる。

今まで沢山、辞典と名の付くものを買ってきたが、これはその中でも最上級の一品だ。小説を書いていて「自分は小説家でなくて編集者なのでは?」と疑うくらい必須の一冊。

少々値は張るが、語彙に自信のない人・ある人、どちらにもオススメである。

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