※ネタバレあり。
※noteに以前アップしていた記事の転載です。
悪気なんてないのに、どうして物事って次々と悪い方向に進んでしまうんだろうねっていう話だったりそうでなかったり……。
今村夏子のデビュー作。三島由紀夫賞を受賞しているが、このデビュー作一発で芥川賞与えれば良かったのに、と思うくらいの作品。
※芥川賞受賞しました。おめでとうございます!
4部構成に分けたら以下のような感じ。
他の短編も収録されているが、表題作は110ページ程度の短編。テンポが良くて読みやすい。
1 あみ子、及び登場人物の紹介等、主に設定描写
2 あみ子の母が死産するという事件発生
3 あみ子が、死産した赤子の墓(金魚の墓みたいに棒に名前書くだけの)を自宅の庭に立てるという突拍子もないことをして家族崩壊。兄はグレて、母は精神を病んで寝込む。あみ子もネグレクト状態になる。
4 中学卒業後の両親の離婚決定(本当は離婚ではない)。中学卒業前に保健室で好きな男の子に殴られる。そしてラストシーン。
発達障害・知的障害を抱えていると思われるあみ子が、その純粋無垢さで家族を崩壊させていく物語。あくまで発達障害「っぽい」知的障害「っぽい」だけであって、あみ子のような人物は実際には存在しないだろう。
頭の良さ・悪さ、敏感さ・鈍感さがチグハグだから、違和感を抱くはず。そもそも、好きな人の苗字を中学卒業になるまで知らないのはオカシイ。死産した赤子の性別を勘違いしたままなのもオカシイ。他の場面と照らし合わせればそこまで知的に障害があるようには見えない。
これは、褒め言葉であって、この人物を作り上げた想像力、この人物を物語にはめ込むストーリー作成力には感嘆。
悲劇を描いてはいるんだけども、単なる悲劇とは言えない。
そもそも、主人公のあみ子は勝ち負けのある世界に生きていなくて、最後、悲しい結末になっても、悲嘆に暮れているわけでもない。感動ポルノのように、弱者が頑張っている姿が殊更に強調して描かれているわけでもない。
町田康のあとがきに「色々な風に読める」と書いてあり、その通りだと思う。
個人的には、まっすぐなあみ子が不条理な目に遭いながらも、強く生きていること(その自覚すらあみ子にはない)に何か羨ましさのようなものを抱いた。
単に自分の状況に無自覚だというだけではそんな羨ましさは感じない。
このファンタジーには、こんなものはまるで理想郷ではないのにこれは理想郷だと感じさせる何か強い力がある。申し分のない傑作だと思う。
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