21 這わせる視線

「おい、てめえ、ガン飛ばしてんじゃねえよ」
 という不良おなじみの台詞がある。
 日本では人と目を合わせることがあまり良いこととされていない。
 視線が合ったら思わず逸らす人、多いでしょう?
 外国人は公共の場で日本人と視線が合わなくて戸惑うらしい。

 そんな日本人だが、チラ見をする頻度は高いように思う。
 飛び降り王子の例では、銭湯で黒人を見かけたら物珍しくてチラチラ見てしまったことがある。
 入院中、金属の棒が頭蓋骨を貫通している、病気か障害を持った子どもとエレベーターで遭遇した。あれは脳を固定するための処置だったのだろうか、などと気になって後ろからついついチラ見してしまった。
 男の性とでもいうのか、美女もよくチラ見する。
 自分でもちょっと下品に感じる。

「ちょっと! 何、他の女見てるのよ!」
「いや、見てない見てない! 見てないって!」
 という場面がデートの失敗例のお約束のようになっていることを考えると、日本人はチラ見には案外、寛容なのだろうか?
 この場合はあとで彼女にこっぴどく叱られるのだろうが、お約束ということを考えれば、寛容と言えるのではないか?

 他にも、妊婦さんや外国人、ユニークな頭や体型をしている中年男性、奇抜な格好の人など、物珍しい存在を見てしまう癖みたいなものが日本人にはあるように思う。
 これは海外でも同様なのか、気になるところではある。
 しかし、チラ見文化があるからこそ、人の目を気にする日本人が多いのではないか?
 日本人の対人恐怖症の率は異常に高いと本で読んだことがある。

 さて、見る側の気持ちはおそらく大半の人が分かる。
 では、見られる人の気持ちは分かるだろうか?
 案外、見られる立場に置かれた人は少ないのではないか。
 女性はともかく、男性は女性を「見る」側の性なので分からない人が多そうだ。

 退院後、飛び降り王子は杖を突きながら、友人と札幌の大通からすすきの方面まで歩いていた。
 それだけで好奇の視線が集まること集まること!
 すれ違いざまに見てくる人の数は七割くらいいたのではないか。

 たかだか杖を突いて歩いているだけ。
 他人からしたら足を怪我でもしたのかなと思う程度だろう。
 大した珍しくもない姿でもこれだけの視線が集まるのである。
 これがもっと珍しい格好、たとえば女装などで歩いていたら歩行者の視線を釘付けにできるのではないか? 絶対にしたくはないが……。

 歩行者に見られていた時の気分を書こう。
 正直、不愉快以外の何者でもなかった。
 王子は目立ちたがり屋だが、こんなことで目立ちたくはないのだ。
 なので、物珍しい人物を見かけても、好奇の視線を向けるのはなるべく控えましょう。
 王子はあの時の体験を機に、控えるよう心がけている。

 ちなみに、王子は歩きスマホをしている美女ならガン見する。
 こちらの視線に気づかないからだ。
 そもそも歩きスマホをしているから悪い、と開き直ってのガン見である。
 これも大変下品な行為なので、なるべく控えましょう。

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