「恥の多い生涯を送って来ました」
『人間失格』の冒頭である。
この小説の上手いところは「自分のことが書かれてある!」と読者に思わせる点だという論評を読んだことがある。
飛び降り王子は自分のことだとまでは思わなかったが、二カ所ほどそれに近い部分があった。
以下、引用。
また、自分は、空腹という事を知りませんでした。いや、それは、自分が衣食住に困らない家に育ったという意味ではなく、そんな馬鹿な意味ではなく、自分には「空腹」という感覚はどんなものだか、さっぱりわからなかったのです。
引用以上。
王子は保育園の途中から高校生になるまでの間、母子家庭だった。
母がパチンコから帰ってこなくて、食事が遅れることがままあった。
そういう時に限ってイライラする。
原因がしばらく分からなかったのだが「空腹だからなんだ!」と気づいた瞬間がある。空腹感自体も、それによって起きる現象についてもよく分かっていなかったのだ。
「ママ、早く帰って来て!」
「今連チャン入ったからもうちょっと待って」
パチンコ屋に電話して母を呼び出してもらう(時代!)ことがしょっちゅうあったのを思い出す。
もう一点。
私たちの知っている葉ちゃん(注:主人公)は、とても素直で、よく気がきいて、あれでお酒さえ飲まなければ、いいえ、飲んでも、……神様みたいないい子でした。
引用以上。
自分で言うなという話かもしれないが、素直なのと、お酒さえ飲まなければ……とはよく言われるので、自分のことのように感じたのである。
「自分のことだ!」と過剰に共感する現象というのは、割とよく存在するのだろうか?
さて、太宰治だが、彼の人生は周りに迷惑をかけまくったものだといっても過言ではないだろう。女性と二度も入水自殺をしているのだから。
おっと、自殺は迷惑なのだろうか?
正直、王子はそうだと思うが、迷惑をかけることが悪いことだとは思わない。誰だって周りに面倒をかけて生きていて、お互い様だと考えているからである。
とは言っても、迷惑にも程度がある。
飛び降り自殺は下を歩いている人にぶつかる危険性があるから迷惑だという意見を耳にしたことがある。
尤もな意見だと思う。
王子の転落場所は自転車置き場だった。
深夜で、しかも欄干を掴みながら下を見て誰もいなかったとはいえ、学生が多く住むマンション、人に当たらなかったのは本当に幸いだった。
もし、当たって事故を起こしていたら今の自分はないだろう。
迷惑をかけない自殺など存在しない。
まず、家族や親戚、友人に精神的な痛手を与える。
たとえ天涯孤独な人でも、第一発見者に大きなショックを与えるだろう。
日本は自殺者が減少してきているが、それでもまだ年間二万人以上もの人が自殺している。
この数が0になることを、王子は望んで止まない。
また、今回の新型コロナウィルス騒動によって、経済が回らなくなっての自殺者増加も懸念している。
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