『物語を書く人のための推敲入門』ラリー・ブルックス著 感想

 これは隠れた名著だと思う。隠れた、というのは良さが分かりにくいから。
 文章が冗長だったり、同じことを繰り返し述べていたり、くどく感じる人がいるかもしれない。
 同じ著者の『工学的ストーリー創作入門』を読んでおいた方が良い。一応、読まなくても分かるように書いているというが、用語をしっかり理解するためには読む必要がある。

『工学的ストーリー創作入門』で、著者は小説には六つのコアがあると言った。

  1. コンセプト
  2. 登場人物
  3. テーマ
  4. ストーリーの構成
  5. シーンの展開
  6. 文体

 以上の六つ。
『物語を書く人のための推敲入門』で焦点を当てているのは、1.コンセプトと4.ストーリーの構成、である。
 この記事では前者に焦点を当ててみたい。

 六つの内でどれを一番軽視するだろうか?
 コンセプトを軽視する人が多いように思う。少なくとも、筆者はそうだった(これを読んで過去形になった)。

 コンセプトとは一行でその物語を表現するものだ。
『工学的ストーリー創作入門』の例を挙げてみる。

「フロリダへの旅」はアイデア。
「ドライブの道中で通りかかる国立公園にすべて立ち寄る」はコンセプト。
「この旅で、頑固な父と仲直りする」は前提(プレミス)。

 また、コンセプトは完結な「もし~なら?」で表現できるものだ。
 これも例を挙げてみる。『ラブリーボーン』という海外小説の例。

 アイデアは「天国の話」。
 コンセプトは「天国にいる人物の打ち明け話が殺人犯を探す話に発展する」。

「もし~なら?」で表現すると……

「もし、未解決の殺人事件の被害者が、天国から「遺族を助けて事件解決を目指すとしたら?」

 となる。
 何故、筆者がコンセプトを軽視すると思うかといえば、「物語を一行で表現なんてできるか!」と感じるからである。また、コンセプトがなくてもストーリー構成さえあれば一応小説を書き上げられるという理由もある。

 しかし、まとめる重要性が『物語を書く人のための推敲入門』にはくどいくらいに書いてある。くどいくらいで十分なのだろう。そのくらいくどく言わなければ理解できない人が多いのだと推測する。

 筆者は 『工学的ストーリー創作入門』 を参考に、一つ作品を書きあげて第一回令和小説大賞に応募した。
 が、コンセプトを作らなかったせいで、ストーリーに無駄なものが増えてあまりにも長くなりすぎた。
 また、キャラクターの作り方が下手に分かったせいで調子をこいて群像劇にしてしまった。 『物語を書く人のための推敲入門』 では難解だから避けた方が良いとされている群像劇に!

 駄目な例として自作のURLを以下に貼り付けておく(なお、LINEノベルの仕様上、スマホからしか読めません)。

https://novel.line.me/r/general/novel/6619

 一度失敗したこと、この本を読んだことで、如何に一行で物語をまとめることが大事なのか学ぶことができた。
 どんな複雑なストーリーも一行でまとめることができる(『ゴッドファーザー』や『ダ・ヴィンチ・コード』も本書ではまとめられている)。
 だから天才でもない限りは一行でまとめるべきなのだ。
 そのことがくどいくらいに書かれてある。この記事でもくどく言う。

 著者ラリー・ブルックスの本は買って損はない。
 是非、手に取ってみて欲しい一冊。