カルトの帝王の異名を取るデイヴィッド・リンチの長編デビュー作。カルトの帝王はデビュー作からカルトの帝王だった。
恐ろしき馬鹿馬鹿しさ。
筋としては、単純である。
消しゴム頭の主人公の恋人に子どもができたという。が、その子どもが奇形児で二人は結婚生活を送ることになる(リンチの実生活を元にしているらしい)。ただそれだけ。筋で観る映画ではない。
モノクロのおどろおどろしい舞台が用意されている。音楽も奇っ怪だ。しかし話自体はツッコミどころが満載である。このギャップ!リンチのユーモアセンスは卓抜している。
タイトルになるほどの主人公の髪型とは一体……?
恋人の父親の妙なハイテンション……。
恋人の父のチキン料理は生きた動物のように奇妙に動く。それを見た家族は部屋から逃げ出すという……。
どう見ても食べてはいけないものでは?
部屋に取り残された男二人の間には気まずい空気が流れる……。
しかしどうして妊娠して勝手に子どもを産んだのか?
未熟児と恋人の母は言うが、どう見ても怪物である……。
その母は主人公に、恋人と性交渉したか聞いてくる。
それだけならまだしも、主人公に発情しだしてキスするという……。
恋人は子どもの奇妙な鳴き声に苦しんで家を出る……
子どもの皮膚にボツボツができて、主人公は「病気なのか!?」と驚く。
いや、驚きたいのは病気よりも子どもの奇形っぷりのほうなのだが……。
病院に行くべきは主人公の恋人のほうである。
単なる悪夢をそのまま映画にしたような作品。しかし付き合う価値のある悪夢である。あり得ないが、あり得そう。そのギリギリの線をつくのがリンチの作品なのだ。
最後、主人公は子どもをハサミで刺し殺す。グロテスクな映像が流れて悪夢は終わる。
ホラー風味な映像と音楽が作品のテンションを保っている。
リンチ作品のオススメは沢山あるが、これも初めての一作に推奨できる作品。
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