iPhoneでは家族のいる場所がGPSで把握できると聞いた。
既婚の友だちとキャバクラに行った時のことである。
「奥さんに見られたら不味いんじゃないの?」
「いやー、そうそう見ないでしょ」
確かに、旦那の動向を逐一チェックはしないだろう。もししていたら、それは恐ろしい奥さんに違いない。
現代はプライバシーの時代だ。
リクナビが新卒の内定辞退率予測サービスを企業に売っていたことが問題になった。
裏取引するくらいなら、いっそ就活生と本音で話してしまえば良いと思う。が、建前を覆すことはできないだろう。
過去にはベネッセも情報漏洩問題を起こした。
飛び降り王子の家にもお詫びとして五百円の金券が届いた。
五百円で済む!
王子はプライバシーに関して一つの思想を持っている。
今は個人情報が大切にされる時代だが、いずれ、監視社会になってプライバシーなど価値を持たなくなるだろう、という思想だ。
だから、自分のプライバシーを敢えてさらけ出すスタンスを取っている。
伊藤計劃の『ハーモニー』では、究極の監視社会の中、プライバシーという言葉が意味をなさなくなり、性的な事柄に関する意味合いしか持たなくなった世界が描かれている。
作中では、プライバシーという言葉は卑猥なのだ。面白い発想だが、現実社会でもそう遠くない出来事になると王子は想像している。
この思想は飛び降りる前からあった。
飛び降りる前、SNSで知り合った東京の男性が北海道観光に来るというので、家に泊める約束をした。
その後、飛び降りた。
家には自分不在。
通常、この状況で人を家に泊めるだろうか?
王子は思想に加え、約束を破るのは悪いなという気持ちから泊めた。
家には母が出入りしていたから、鍵は王子が持っている。
母は実家に帰宅したので、泊めるのに不都合なことはない。
鍵を渡さなければならないのもあって、その男性は王子の見舞いに来てくれた。
その時は車椅子を利用しており、髪もボサボサだったのであまり見られたくない姿だった。
彼は哲学好きのなかなかぶっ飛んだ男性で、水筒に酒を入れて持ってきてくれた。
「飲みなよ。飲んで病院抜け出してキャバクラに行こう」
「いやいや、キャバクラは無理ですよ」
といいつつ、酒だけはこっそり飲ませてもらった。
久しぶりの酒で良い心地になったのを覚えている。
本の交換を約束していた。
彼からは中島らもの『アマニタ・パンセリナ』を貰った。
王子は丸山眞男の『日本の思想』を渡した。
本で交流しあうのは良いものだ。
パソコンも自由に使って良いと言ったから、きっと中身も色々と見たことだろう。
ここまでオープンなのに、退院後、友だちが自宅に来てパソコンを見ようとしたら必死に拒んだ。
目の前で見られるのはやはり嫌なのである。
今、恋人がいるとして、パソコンの中身を見せられるか? と問われたら、絶対に見せられない、と答えるだろう。
矛盾している?
そう思う。
矛盾の塊が人間なのだと言い訳しておこう。
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