6-4 愛の行方(杏)
精神病でアルコール依存症を抱えた健人の母は、今後、彼に愛情を表現することのないまま生きて、いつか死んでいくのだろうか? もしそうであるならば、母が死んでいること以上に辛いのではないか? 健人にとっては生き地獄ではないの…
感じたものについて綴っていきます。
声だけの女
精神病でアルコール依存症を抱えた健人の母は、今後、彼に愛情を表現することのないまま生きて、いつか死んでいくのだろうか? もしそうであるならば、母が死んでいること以上に辛いのではないか? 健人にとっては生き地獄ではないの…
声だけの女
退院して視覚障害者協会に所属した健人は、目が見えない環境でも要領良く生きていくための極意を体得すべく、会員たちに話を聞いて回った。 そこから得た知識と経験を活かして、健人も少しずつ視力のない生活に慣れてきた。 今日は…
声だけの女
世界は一律のものとして、全ての生物に与えられていると考えられているが、その生きる世界は生物によって違う。 たとえば、犬にとって世界は色彩が欠けたもので、イエバエにとっては世界には濃淡しか存在しないと言われているそうだ。…
声だけの女
三上との戦いで生命に関わるほどの重傷を負った健人は、今、病室のベッドにて収穫祭の録画放送を観ている。緑色の可愛らしい病衣をまとい、角度調整可能なベッドの調整ボタンを押して遊びながら鑑賞している。 個室の病室には、沢山の…
声だけの女
この努力と労力の先に存在しているのは冥府ではないかと思うくらいに長く続く階段を駆け下りている最中、遙は超自然的で美麗な感覚に襲われた。 光量の少ない暗闇の中で、宝石の輝きのような光を目撃したのである。いや、この光は視覚…
声だけの女
閉鎖されている神林駅の一つ手前、夏影《なつかげ》駅で降りた遙は、一つの重大な真実を前にして制御することの出来ない悲哀と憤怒と憎悪の念を胸の内で燃えたぎらせながら神林駅まで歩みを進めた。 沙羅から真実を明らかにされたので…
声だけの女
全国で地上から最も深くにある神林駅の階段は非常に長くて、それを嫌ってこの駅周辺に住むのを避ける市民も多いという。健人は三上に聞こえるよう、敢えて足音を大きく鳴らしながら階段を降りた。 その最後の一段を健人は飛び跳ねて着…
声だけの女
三上に会うことは誰にも話してこなかった。 とはいえ、自分が殺されてしまえば何の意味もないのだから絶対に勝たなければならない。 沙羅が来るまで駅の二番出口付近でタバコを吸いながら待ち続ける。 コンビニ一件の他には樹海の入…
声だけの女
神林駅は全国で地上から最も深くにあることで有名な駅である。三上は今、駅の階段を一人で降りている。 多くの人が利用するはずであろう収穫祭の日で誠に申し訳ないが、午前七時五分まで神林駅を閉鎖しておくよう、三上は社長の古谷修…
声だけの女
この先では、ついさっきまで哀れみの目で見届けてきた大渋滞が待ちかまえているはずである。杏がお気に入りの男性アイドルグループ「Ballantines」の楽曲を流して交通渋滞に備えておく。その最後尾に追いつくまでは、ものの…
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