4-7 愛のはけ口(三上)
なみだばね町の下見に何度か行っている間に、叶向は三上の意志を目撃したのだろう。 趣味で自費出版しようとしていた本のタイトルを急遽『入口と出口の哲学』に変更して、最終章も「腸内環境について」に内容を差し替えたという話を、…
感じたものについて綴っていきます。
声だけの女
なみだばね町の下見に何度か行っている間に、叶向は三上の意志を目撃したのだろう。 趣味で自費出版しようとしていた本のタイトルを急遽『入口と出口の哲学』に変更して、最終章も「腸内環境について」に内容を差し替えたという話を、…
声だけの女
母、及び蓮の墓参りに行くに当たって、健人からある条件が課せられた。 遙一人で外出となると誰かが接近してくるかもしれないが、それは要注意人物である可能性が高い。その人物をおびき寄せつつ身の安全を確保するために、誰かを目が…
声だけの女
クローリスコーポレーションの業績がうなぎのぼりだった頃、失明して白く変色した片目を持つ男性が面接を受けに来た。 それが沙羅の父、小川祐介だった。 会った瞬間、不思議な欲求が沸いてきたのだが、それがすぐに食欲だと気付いた…
声だけの女
遙一人でさざなみ霊園に行くという情報をキャッチした秘密結社/Videoは、その追跡のために沙羅を派遣することとなった。昼時なので困難だろうが、余裕があれば殺しても良いとの命令が下っている。 どうして単独行動をしているの…
声だけの女
二十歳の頃、ひとひら大学近くにある黒魔術などの胡散な書物を扱っている古書店で、三上は『入口と出口の哲学』を発見した。その本には、قوة اللهという神の力が存在して脈々と受け継がれてきたこと、قوة اللهを得るた…
声だけの女
詩織と二人で帰宅した杏は玄関に並んでいる靴を確認した。見たことのない靴が三足並べられている。 居間に入ると、大輝と萌と美咲、斉藤誠の件で集められた三人が酔っぱらっている。 げっ、いたのこいつらかよ。「杏さん、おかえりー…
声だけの女
このところ、マグノリアの人の出入りが激しい。 喜ばしいことではあるが、そのせいで込み入った話がしにくくなって、杏は少しばかり困っていた。 山田といえば、蓮は事故死ということになっているにもかかわらず、自殺するなんてねえ…
声だけの女
教団教祖室の書棚は扉になっており、本で隠された部分に指紋認証式の鍵が備え付けられている。その奥にある打ち放しコンクリートの秘密の部屋には重要な資料が集められており、その存在は沙羅でさえも知らない。 その隠し部屋で、三上…
声だけの女
海の教団本部の三階中心部は五階まで吹き抜けの教会となっている。 祭壇の最奥部には深みのある青いカーテンがかけられているのだが、その折り目が規則正しくて美しい。この深みのある青は海を、規則正しい折り目は緩やかな波を再現し…
声だけの女
ひとひらが鳴いている。 その構造上、教団本部の球面状の窓は人が通り抜けられないくらいまでしか押しても開かない。 自室の窓を開けた沙羅は三五〇mlの缶ビールを片手に、その僅かなスペースから外の禍々しい雰囲気を感じ取ってい…
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