5-9 貴重な宝石たち(遥)
この努力と労力の先に存在しているのは冥府ではないかと思うくらいに長く続く階段を駆け下りている最中、遙は超自然的で美麗な感覚に襲われた。 光量の少ない暗闇の中で、宝石の輝きのような光を目撃したのである。いや、この光は視覚…
感じたものについて綴っていきます。
声だけの女
この努力と労力の先に存在しているのは冥府ではないかと思うくらいに長く続く階段を駆け下りている最中、遙は超自然的で美麗な感覚に襲われた。 光量の少ない暗闇の中で、宝石の輝きのような光を目撃したのである。いや、この光は視覚…
声だけの女
閉鎖されている神林駅の一つ手前、夏影《なつかげ》駅で降りた遙は、一つの重大な真実を前にして制御することの出来ない悲哀と憤怒と憎悪の念を胸の内で燃えたぎらせながら神林駅まで歩みを進めた。 沙羅から真実を明らかにされたので…
声だけの女
全国で地上から最も深くにある神林駅の階段は非常に長くて、それを嫌ってこの駅周辺に住むのを避ける市民も多いという。健人は三上に聞こえるよう、敢えて足音を大きく鳴らしながら階段を降りた。 その最後の一段を健人は飛び跳ねて着…
声だけの女
三上に会うことは誰にも話してこなかった。 とはいえ、自分が殺されてしまえば何の意味もないのだから絶対に勝たなければならない。 沙羅が来るまで駅の二番出口付近でタバコを吸いながら待ち続ける。 コンビニ一件の他には樹海の入…
声だけの女
神林駅は全国で地上から最も深くにあることで有名な駅である。三上は今、駅の階段を一人で降りている。 多くの人が利用するはずであろう収穫祭の日で誠に申し訳ないが、午前七時五分まで神林駅を閉鎖しておくよう、三上は社長の古谷修…
声だけの女
この先では、ついさっきまで哀れみの目で見届けてきた大渋滞が待ちかまえているはずである。杏がお気に入りの男性アイドルグループ「Ballantines」の楽曲を流して交通渋滞に備えておく。その最後尾に追いつくまでは、ものの…
声だけの女
警察に証拠を突きつけて再捜査してもらおうという杏の目論見は、淡々黙々と運用されている法律の前で脆くも崩れ去った。検視が行われた結果、自殺という死亡診断書が医師によって作成されているのだから、新たな証拠がなければ警察は動…
声だけの女
教祖室の球面状の窓を僅かに開くと、夜のひとひらの乾いた冷たい空気が怒濤の如く流れ込んでくる。整髪料で整えている三上の髪型が一瞬にして秩序を失った。沙羅からもうすぐ帰宅するという連絡があったため、三上は落ち着きを欠いてし…
声だけの女
元の環境に戻れば、緘黙も治るのではないかと沙羅は健人に伝えてきた。秘密結社/Videoという組織があるのだという。海の教団とは表向き独立していて、両方関与しているのは三上と沙羅だけなのだそうだ。 詳しいことは着いてから…
声だけの女
山田はマグノリアの二階寝室の窓を開けて夕空を眺めた。 まがまがしく滲んだ血液のように染められた空に低く浮かぶ茜色の巻雲は、地球の自転の法則に反しているくらいの速度で視界から去っては入ってくる。今にもバランスを崩して落ち…
最近のコメント