4-12 Roman(山田)
沙羅に敵意を剥き出しにした杏はマグノリアから出て行ったきり、翌日も帰って来ない。山田はスマホで連絡を取ったが、流石に戻って来にくい、ちょっと時間置いてから戻るということだった。 健人と沙羅は行き先も告げずに二人で出かけ…
感じたものについて綴っていきます。
声だけの女
沙羅に敵意を剥き出しにした杏はマグノリアから出て行ったきり、翌日も帰って来ない。山田はスマホで連絡を取ったが、流石に戻って来にくい、ちょっと時間置いてから戻るということだった。 健人と沙羅は行き先も告げずに二人で出かけ…
声だけの女
ボールペンを握った美白の手が文字を書いている。特別色黒ではないが白くもない杏がその手を羨望の面持ちで眺めている。ロングスカートからこぼれている右側に崩されたストッキング越しの両脚は非常に細くて、陸上で鍛えてきた杏の脚と…
声だけの女
平日の南ひとひら動物園は閑古鳥が鳴いている。 健人から電話を受け取った沙羅は、南ひとひらにいるから動物園でも行かないかと提案した。喋れればどこでもいいと納得した健人は車で向かうと言って動物園に来た。 窓口のアーチ状部分…
声だけの女
最近の情緒不安定、精神の異常なまでの移り変わりのせいで、沙羅は自分の起源を探すのに躍起になっていた。 母校である南ひとひら高校に行けば何かが分かるかもしれないと思い、当時と同じように地下鉄で向かうことにした。大通で乗り…
声だけの女
シンプルな掛け時計の秒針が時を刻むその音だけが、マグノリアの居間に響き渡っている。健人、遙、杏、山田の四人が居間で輪になっている。その真ん中にはピザがあるが、全く手を付けられないまま冷めて乾いてしまっている。パズルのピ…
声だけの女
なみだばね町の下見に何度か行っている間に、叶向は三上の意志を目撃したのだろう。 趣味で自費出版しようとしていた本のタイトルを急遽『入口と出口の哲学』に変更して、最終章も「腸内環境について」に内容を差し替えたという話を、…
声だけの女
母、及び蓮の墓参りに行くに当たって、健人からある条件が課せられた。 遙一人で外出となると誰かが接近してくるかもしれないが、それは要注意人物である可能性が高い。その人物をおびき寄せつつ身の安全を確保するために、誰かを目が…
声だけの女
クローリスコーポレーションの業績がうなぎのぼりだった頃、失明して白く変色した片目を持つ男性が面接を受けに来た。 それが沙羅の父、小川祐介だった。 会った瞬間、不思議な欲求が沸いてきたのだが、それがすぐに食欲だと気付いた…
声だけの女
遙一人でさざなみ霊園に行くという情報をキャッチした秘密結社/Videoは、その追跡のために沙羅を派遣することとなった。昼時なので困難だろうが、余裕があれば殺しても良いとの命令が下っている。 どうして単独行動をしているの…
声だけの女
二十歳の頃、ひとひら大学近くにある黒魔術などの胡散な書物を扱っている古書店で、三上は『入口と出口の哲学』を発見した。その本には、قوة اللهという神の力が存在して脈々と受け継がれてきたこと、قوة اللهを得るた…
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